ガバナーメッセージ
国際ロータリー第2560地区2011-12年度
ガバナー 石本 隆太郎
ロータリーが誕生して100年余り。ロータリー運動も、大きな転換期を迎えています。これは、単に経済不況というより、もっと大きな変化。例えば、ロータリーの根幹であった資本主義経済システムそのものが変化しつつあり、これまでの企業倫理だけで繁栄が約束される時代でなくなったからではないでしょうか。
カルヤン・バネルジーRI会長の年度テーマ「こころの中を見つめよう 博愛を広げるために」は、内面的な心の部分に主眼をおいており、近年、低迷を続ける日本のロータリーにとっても、分かりやすいものでした。先進国の中で、一際、会員減少が際立っている現状から、地区運営の基本方針を述べる前に、今一度、ロータリーの原点を見つめ直してみたいと思います。
Ⅰ・創成期のロータリーにおける歴史的背景
1905年2月23日、青年弁護士ポール・ハリス他、計4人の仲間がシカゴの下町の小さな事務所に集まり、新しいクラブ構想「職業人が良く知り合うため、定期的に集まれば大変素晴らしい。」ということで、会合は会員の職場で輪番に開くこと。会の名称は「ロータリー」と呼ぶこと。会員の商売繁盛に役立たせるために、各職業から一人の代表だけを入会させること等の規約が採用され、会員の親睦と業務上の利益促進を目的とするシカゴ・ロータリークラブが発足しました。
1914年に始まる第一次世界大戦を目前にし、当時の政治・経済情勢は"混沌"としており、現在のように、インターネット、携帯電話も無い時代では、信頼の置ける一業種一人の会員同士が集まり、情報交換や商取引を行うことは、信用構築の面からも、実利的で便利な存在でした。 ここで一つの転機が訪れます。それは経営学者であるアーサー・F・シェルドンの入会です。「仲間の利益ばかり考えている会は永続しない。社会的にも有用で、立派な旗印が必要」と考えた彼は、「商売繁盛の秘訣は、相手の身になって商売に励んでいる。」ということに注目し、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる。(He Profits Most Who Serves Best)」を提唱。
時を同じくしてフランク・コリンズが「超我の奉仕(Service Above Self)」を唱え、二つの標語により、ロータリーは奉仕団体としての性格が形作られ、ロータリーの発展の基になりました。
ロータリーは創立後25年間で基本的な方針がほぼ固まり、組織も国際的に拡大しました。 しかし、1929年のアメリカの株価暴落に始まる世界大恐慌。1939年の第二次世界大戦の勃発と続き、ロータリー活動も大きな影響を受けて停滞が続くと共に、1930年頃を境に、職業奉仕の理念が衰退し、国際奉仕や社会奉仕等の実践活動の方に主流が移っていきました。
Ⅱ・1950年~現在におけるロータリーと奉仕活動
戦後、1950年の国際大会で、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」と、「超我の奉仕」の 2つが公式標語として決議され、1951年の国際大会において奉仕4部門(クラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕)を包含した「ロータリーの綱領」が決議されました。
1955年、ロータリーの50周年記念国際大会は、シカゴにおいて開催されましたが、この時の RI 会長が、「四つのテスト」の提唱者、ハーバート・J・テイラーです。この版権がロータリーに贈呈され、これが"ロータリーにおける本当の始まり"となりました。
第二次世界大戦後、クラブ数や会員数等、規模の面では飛躍的な発展を遂げ、ロータリー財団を中心とする、大きな資金を活用しての、「ポリオ・プラス」を始め、社会的・国際的な奉仕活動は、地域社会等からも大きな評価をいただくようになりました。
1989年に「ベルリンの壁」が崩壊。世界は政治経済面でも大転換期を迎え、特に2008年、米国発の"サブ・プライム・ロ-ン"というお化けが世界中を駆け巡り、"100年に一度!"ともいわれる未曾有の経済不況は、ロータリーにも大きな影を投げかけています。
Ⅲ・ロータリーの新たなる出発に向けて
ロータリー歴が20年以上の方は、目をつぶって、新入会員の頃を思い浮かべてください。
20年前と比べて、会員数は減っていませんか?
会員の平均年齢は上がっていませんか?
会員の出席率は下がっていませんか?
もし、どの項目も「YES」であったならば、皆さんのクラブは、かなり危機的状況にあるといえます。
先般、過去10年間の会員数推移を比較したデーターが発表になり、アメリカを始め先進国の多くが会員減少している中でも、日本は10年前に比べて15%減と飛びぬけていました。
第2560地区における会員数の減少も顕著で、20年間でクラブ数が47クラブから57クラブに増加したにもかかわらず、600名余り減少しております。
都道府県別将来人口予測によれば、新潟県人口もこれからの20年間で約2割も減る見通しで、ロータリーの会員数に影響をもたらさないはずがなく、まさに"今、そこにある危機!"です。
基本方針を「自らの足元を見直そう」としたのはそのためで、全クラブが会費、例会日、例会時間等の全面的見直しに着手し、人口減少・高齢化時代に備えるとともに、例会内容を充実させ、地域の住民ニ-ズに合致した奉仕活動に、真剣に取り組まなければなりません。
カルヤン・バネルジーRI会長の年度テーマ「こころの中を見つめよう 博愛を広げるために」は、内面的な心の部分に主眼をおいており、近年、低迷を続ける日本のロータリーにとっても、分かりやすいものでした。先進国の中で、一際、会員減少が際立っている現状から、地区運営の基本方針を述べる前に、今一度、ロータリーの原点を見つめ直してみたいと思います。
Ⅰ・創成期のロータリーにおける歴史的背景
1905年2月23日、青年弁護士ポール・ハリス他、計4人の仲間がシカゴの下町の小さな事務所に集まり、新しいクラブ構想「職業人が良く知り合うため、定期的に集まれば大変素晴らしい。」ということで、会合は会員の職場で輪番に開くこと。会の名称は「ロータリー」と呼ぶこと。会員の商売繁盛に役立たせるために、各職業から一人の代表だけを入会させること等の規約が採用され、会員の親睦と業務上の利益促進を目的とするシカゴ・ロータリークラブが発足しました。
1914年に始まる第一次世界大戦を目前にし、当時の政治・経済情勢は"混沌"としており、現在のように、インターネット、携帯電話も無い時代では、信頼の置ける一業種一人の会員同士が集まり、情報交換や商取引を行うことは、信用構築の面からも、実利的で便利な存在でした。 ここで一つの転機が訪れます。それは経営学者であるアーサー・F・シェルドンの入会です。「仲間の利益ばかり考えている会は永続しない。社会的にも有用で、立派な旗印が必要」と考えた彼は、「商売繁盛の秘訣は、相手の身になって商売に励んでいる。」ということに注目し、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる。(He Profits Most Who Serves Best)」を提唱。
時を同じくしてフランク・コリンズが「超我の奉仕(Service Above Self)」を唱え、二つの標語により、ロータリーは奉仕団体としての性格が形作られ、ロータリーの発展の基になりました。
ロータリーは創立後25年間で基本的な方針がほぼ固まり、組織も国際的に拡大しました。 しかし、1929年のアメリカの株価暴落に始まる世界大恐慌。1939年の第二次世界大戦の勃発と続き、ロータリー活動も大きな影響を受けて停滞が続くと共に、1930年頃を境に、職業奉仕の理念が衰退し、国際奉仕や社会奉仕等の実践活動の方に主流が移っていきました。
Ⅱ・1950年~現在におけるロータリーと奉仕活動
戦後、1950年の国際大会で、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」と、「超我の奉仕」の 2つが公式標語として決議され、1951年の国際大会において奉仕4部門(クラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕)を包含した「ロータリーの綱領」が決議されました。
1955年、ロータリーの50周年記念国際大会は、シカゴにおいて開催されましたが、この時の RI 会長が、「四つのテスト」の提唱者、ハーバート・J・テイラーです。この版権がロータリーに贈呈され、これが"ロータリーにおける本当の始まり"となりました。
第二次世界大戦後、クラブ数や会員数等、規模の面では飛躍的な発展を遂げ、ロータリー財団を中心とする、大きな資金を活用しての、「ポリオ・プラス」を始め、社会的・国際的な奉仕活動は、地域社会等からも大きな評価をいただくようになりました。
1989年に「ベルリンの壁」が崩壊。世界は政治経済面でも大転換期を迎え、特に2008年、米国発の"サブ・プライム・ロ-ン"というお化けが世界中を駆け巡り、"100年に一度!"ともいわれる未曾有の経済不況は、ロータリーにも大きな影を投げかけています。
Ⅲ・ロータリーの新たなる出発に向けて
ロータリー歴が20年以上の方は、目をつぶって、新入会員の頃を思い浮かべてください。
20年前と比べて、会員数は減っていませんか?
会員の平均年齢は上がっていませんか?
会員の出席率は下がっていませんか?
もし、どの項目も「YES」であったならば、皆さんのクラブは、かなり危機的状況にあるといえます。
先般、過去10年間の会員数推移を比較したデーターが発表になり、アメリカを始め先進国の多くが会員減少している中でも、日本は10年前に比べて15%減と飛びぬけていました。
第2560地区における会員数の減少も顕著で、20年間でクラブ数が47クラブから57クラブに増加したにもかかわらず、600名余り減少しております。
都道府県別将来人口予測によれば、新潟県人口もこれからの20年間で約2割も減る見通しで、ロータリーの会員数に影響をもたらさないはずがなく、まさに"今、そこにある危機!"です。
基本方針を「自らの足元を見直そう」としたのはそのためで、全クラブが会費、例会日、例会時間等の全面的見直しに着手し、人口減少・高齢化時代に備えるとともに、例会内容を充実させ、地域の住民ニ-ズに合致した奉仕活動に、真剣に取り組まなければなりません。